○川崎町の環境と再生可能エネルギー発電設備設置事業との調和に関する条例
令和3年3月15日
条例第2号
(目的)
第1条 この条例は、再生可能エネルギー発電設備事業が地域住民の生活に及ぼす影響、災害時のリスク等を事前に把握するとともに、地域住民に十分考慮しながら、施設を適切に設置、管理することにより、川崎町の豊かな自然環境と共生した事業となることを目的とする。
(基本理念)
第2条 当町の豊かな自然環境及び良好な生活環境は、町民の長年にわたる努力により形成されてきたものであり、町民共通のかけがえのない財産として、将来にわたって町民がその恩恵を享受し、持続可能な未来を構築できるようその保全及び活用を図るものとする。
(1) 再生可能エネルギー 非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用することができると認められるものとして規則で定めるものをいう。
(2) 再生可能エネルギー発電設備 再生可能エネルギーを電気に変換する設備及びその附属設備(送電に係る電柱等を除く。以下「発電設備」という。)をいう。
(3) 事業 発電設備を設置する事業(立木の伐採、切土、盛土、埋土等の造成工事及びその事業を目的とした土地に関する権利の移転等を含む。)又は当該設備による発電を行う事業をいう。
(4) 事業者 事業を計画し、これを実施する者をいう。ただし、国及び地方公共団体を除く。
(5) 事業区域 事業を行う土地(再生可能エネルギー発電設備に附属する管理施設、変電施設、緩衝帯等に係る土地を含む。)の区域をいう。
(6) 建築物 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物をいう。
(7) 行政区 川崎町行政区設置条例(令和元年川崎町条例第31号)第2条別表に規定する区域をいう。
(8) 地域 事業区域を含む行政区及び事業の影響を受けると認められる行政区をいう。
(9) 住民等 地域内に居住する者、これらの区域に所在する法人及びその他団体並びに土地若しくは建築物を所有し、又は使用する者をいう。
(10) 廃棄物 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第2条第1項に規定する廃棄物をいう。
(11) 禁止区域 土砂災害その他の災害が発生するおそれが極めて高いと認められる、又は自然環境の保全のため配慮が特に必要と認められる区域をいう。
(12) 抑制区域 災害の防止又は良好な自然環境、景観、歴史的又は文化的価値、森林若しくは農地等の保全のため配慮が必要と認められる区域をいう。
(町の責務)
第4条 町は、第2条に定める基本理念に則り、この条例の適切かつ円滑な運用を図らなければならない。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、関係法令及びこの条例を遵守し、自然環境を損ない、又は災害若しくは生活環境への被害等が発生することのないよう十分に配慮し、住民等と良好な関係を保つよう努めなければならない。
2 事業者は、発電設備及び事業区域(その周辺区域の道路等を含む。)を適正に管理しなければならない。
3 事業者は、事業で発生する廃棄物を適正に処理するとともに、事業が終了したときは、当該発電設備の速やかな撤去及び適正な処分を行わなければならない。
(事業予定地の土地所有者の責務)
第6条 土地所有者は、第1条の目的に反するおそれのある事業を行う事業者に対して、当該土地を使用させることのないよう努めなければならない。
2 土地所有者は、事業により、自然環境若しくは景観を損ない、又は災害若しくは生活環境への被害等が発生することのないよう、事業者に対し、当該土地を適正に管理することを求めるよう努めなければならない。
(適用を受ける事業)
第7条 この条例の規定は、発電出力10キロワット以上の事業に適用する。ただし、禁止区域及び抑制区域で実施する事業については、発電出力にかかわらず適用する。
2 太陽光を再生可能エネルギー源として発電設備を設置する事業で、次に掲げる事業については、前項にかかわらず、この限りでない。
(1) 建築物の屋根又は屋上に設置する事業
(2) 禁止区域及び抑制区域以外に設置する発電出力50キロワット未満の事業
3 既に設置された発電設備を増設することにより、前項に規定する発電出力以上となる事業においても適用する。
(禁止区域)
第8条 町長は、次に掲げる区域を禁止区域に指定する。
(1) 地すべり等防止法(昭和33年法律第30号)第3条第1項の規定により指定された地すべり防止区域
(2) 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年法律第57号)第3条第1項の規定により指定された急傾斜地崩壊危険区域
(3) 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成12年法律第57号)第9条第1項の規定により指定された土砂災害特別警戒区域
(4) 砂防指定地等管理条例(平成15年宮城県条例第42号)第2条第1号の規定により指定された砂防指定地
(5) 自然公園法(昭和32年法律第161号)第2条第3号の規定により指定された国定公園
2 事業者は、禁止区域を事業区域に含めてはならない。ただし、関係法令等の許可を受けている場合はこの限りでない。
(抑制区域)
第9条 町長は、次に掲げる区域を抑制区域に指定する。
(1) 農業振興地域の整備に関する法律(昭和44年法律第58号)第8条第2項第1号の規定により指定された農業振興地域内の農用地区域
(2) 森林法(昭和26年法律第249号)第5条第2項第1号の規定により指定された地域森林計画の区域及び第25条第1項の規定により指定された保安林
(3) 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(平成14年法律第88号)第28条第1項の規定により指定された鳥獣保護区
(4) 自然公園法(昭和32年法律第161号)第2条第4号の規定により指定された県立自然公園
(5) 文化財保護法(昭和25年法律第214号)第109条第1項の規定により指定された史跡、名勝又は天然記念物が所在する区域
(6) 自然環境保全条例(昭和47年宮城県条例第25号)第12条第1項の規定により指定された自然環境保全地域
(7) 河川法(昭和39年法律第167号)第6条第1項の河川区域及び第54条第1項の河川保全区域
(8) 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成12年法律第57号)第7条第1項の土砂災害警戒区域
(9) 川崎町景観条例(令和3年川崎町条例第6号)第7条の規定により指定された景観計画の区域
2 事業者は、抑制区域を事業区域に含めないよう努めなければならない。
3 町長は、必要があると認めるときは、前項の規定により指定された抑制区域を変更し、又はその指定を解除することができる。
(計画の届出)
第10条 事業者は、第7条に規定する事業を計画したときは、速やかに町長へ届け出なければならない。
(協議)
第11条 事業者は、第7条に規定する事業を実施しようとするときは、当該事業に着手しようとする日の90日前までに、町長に届け出て、協議しなければならない。
2 事業者は、前項の規定により協議をした事項を変更しようとするときは、速やかにその旨を町長に届け出て、協議しなければならない。ただし、規則で定める軽微な変更については、この限りでない。
(住民等への説明)
第12条 事業者は、第7条に規定する事業を実施しようとするとき、又は環境影響評価法(平成9年法律第81号)第3条の3第1項の規定による計画段階環境配慮書を作成しようとするときは、住民等に対し事業内容に関する説明会を開催しなければならない。ただし、禁止区域及び抑制区域以外に設置する発電出力が50キロワット未満の事業に限り、戸別訪問その他適当な方法をもって住民等に事業の内容等を周知することにより、説明会の開催に代えることができる。
2 事業者は、前条第2項の規定による変更の協議を行う前に、住民等に対し事業内容の変更に関する説明をしなければならない。ただし、町長が認めるときは、この限りでない。
3 事業者は、事業について住民等の理解が得られるよう努めなければならない。
4 住民等は、説明を行った事業者に対し、事業の内容等について意見を申し出ることができる。この場合において、事業者は、意見に対する見解を記載した書面を作成し、住民等に交付の上、当該住民等と協議しなければならない。
(協議の終了)
第13条 町長は、第11条第1項の規定による協議が終了したときは、事業者に終了した旨の通知をするものとする。
2 町長は、必要に応じて、前項の通知に意見及び条件を付することができる。
(事業の着手等の届出)
第14条 事業者は、事業に着手、完了、中止、休止、若しくは再開をしたときは、速やかにその旨を町長に届け出なければならない。
(事業の確認)
第15条 町長は、前条の規定による届出があったときは、速やかに現地を確認するものとする。
(事業者の保険又は共済の加入)
第16条 発電出力1,000キロワット以上の大規模な発電施設を設置する事業者は、着手する日から当該発電施設を廃止し、撤去する日までの間、発電事業の実施に起因して生じた他人の生命又は身体及び財産に係る損害を填補する保険又は共済へ加入をしなければならない。あわせて、災害等による発電事業途中での修繕、撤去又は処分に備え、火災保険、地震保険その他必要な保険に加入しなければならない。
2 当該発電施設の設置に係る期間中の損害賠償保険の加入にあっては、当該発電施設の設置を請け負う者が損害賠償責任保険への加入をすることで足りるものとする。
(地位の承継)
第17条 事業者から事業譲渡、相続、売買、合併又は分割によりその地位を承継した者は、承継の日から30日以内に、規則で定めるところにより、その旨を町長に届け出なければならない。
(災害及び事故発生時の対応)
第18条 事業者は、事業区域内における災害及び当該災害に起因する自然環境及び生活環境への被害が発生するおそれがあると認められるときは、速やかに現地を確認し、早急に必要な措置を講じるとともに、地域住民等に周知し、町長に通報しなければならない。
3 事業者は、事業の実施に伴い事故等が発生したとき又は住民等と紛争が生じたときは、自己の責任においてこれを解決し、再発防止のための措置を講じなければならない。
(報告及び立入調査)
第19条 町長は、この条例の施行に必要な限度において、事業者に対し報告及び資料の提出を求めるものとし、職員に事業区域に係る土地への立ち入り及び当該事業に関する事項の調査をさせることができる。
2 前項の規定による立入調査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
(助言、指導又は勧告)
第20条 町長は、必要があると認めるときは、事業者に対して、必要な措置を講じるよう助言又は指導を行うことができる。
2 町長は、事業者が次のいずれかに該当すると認められるときは、当該事業者に対し、期限を定めて必要な措置を講じるよう勧告することができる。
(1) 第11条の規定による協議をしない、又は虚偽の協議をしたとき。
(2) 正当な理由なく第13条の規定による通知を受ける前に事業を着手したとき。
(3) 第13条第2項の規定により付された条件、意見に従わないとき。
(4) 前条第1項の規定による報告又は資料の提示をしないとき。
(5) 虚偽の報告又は資料の提出をしたとき。
(6) 立入調査を拒み、妨げ、又は忌避したとき。
(7) 質問に答弁せず、又は虚偽の答弁をしたとき。
(8) 事業が自然環境及び生活環境に重大な影響を与えるおそれがあると認められるとき。
(9) 第5条第3項の規定に従わないとき。
(10) 正当な理由がなく前項の規定による助言又は指導に従わないとき。
(公表)
第21条 町長は、前条第2項の規定による勧告を受けた事業者が、正当な理由なく当該勧告に従わないときは、当該勧告に従わない事業者の氏名及び住所並びに当該勧告の内容を公表することができる。
2 町長は、前項の規定により公表しようとするときは、あらかじめ当該事業者に弁明の機会を与えなければならない。
(委任)
第22条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、令和3年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の日の前に再生可能エネルギー発電設備設置事業における開発事業の工事に着手したものについて、この条例の規定は適用しない。
3 施行の日以後90日を経過する日までの間に当該事業に着手しようとする場合においては、第9条第1項中「当該事業に着手しようとする日の90日前までに」とあるのは、「速やかに」と読み替えるものとする。
附則(令和5年条例第5号)
(施行期日)
1 この条例は、令和5年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例による改正後の川崎町の環境と再生可能エネルギー発電設備設置事業との調和に関する条例(以下「新条例」という。)の規定は、この条例の施行の日(以下「施行日」という。)以後に新条例第10条に規定する計画の届出を行うものについて適用し、施行日前に改正前の川崎町の環境と再生可能エネルギー発電設備設置事業との調和に関する条例第8条に規定する協議の届出をしたものについては、なお従前の例による。